食物アレルギーとは『なにか原因となる食べ物を食べた後に免疫学的機序を介して発疹や、呼吸困難や下痢などのさまざまな症状を起こすこと』です。
免疫というのは、通常細菌とかウイルスなど体に入ってほしくないものに対して働く、人間にもともと備わっている防御機構です。
その防御機構が本来人間の体に必要なもの(食べ物)もしくは無害であるはずのもの(花粉やハウスダストなど)に対して働くのがアレルギーです。
食物アレルギーの症状は様々です。
発疹がでたり、下痢をしたり、呼吸が苦しくなったり・・・
そしてこれらの症状は通常原因となるものを食べてから最低でも2時間以内(普通は1時間以内)に起こります。症状が強い場合は食べてすぐにでることもしばしばです。
最も強い反応がでてしまうと『アナフィラキシーショック』という命にかかわる状態になってしまいます。
アナフィラキシーショックの際には早急な治療を要するため、急いで病院を受診しなければなりません。
食物アレルギーの原因食材は年齢によって変化します。年齢別に多い原因食材は以下の通りとなっています。
年齢別食物アレルギー新規発症の原因食材↓(アレルギー 65(7) 942-946. 2016(平28) 表1より一部改変)
● 0歳
第1位 鶏卵
第2位 乳製品
第3位 小麦
第4位 -
第5位 -
● 1歳
第1位 鶏卵
第2位 魚卵
第3位 乳製品
第4位 ピーナッツ
第5位 果物
● 2歳~3歳
第1位 魚卵
第2位 鶏卵
第3位 ピーナッツ
第4位 ナッツ類
第5位 果物
● 4歳~6歳
第1位 果物
第2位 鶏卵
第3位 ピーナッツ
第4位 そば・魚卵
● 7歳~19歳
第1位 甲殻類
第2位 果物
第3位 鶏卵
第4位 小麦
第5位 そば
● 20歳以上
第1位 小麦
第2位 魚類
第3位 甲殻類
第4位 果物
食物アレルギーの診断補助として(診断の確定はできません)、現在最も多く行われているのは血液検査です。血液検査を行う場合、たとえば卵のアレルギーを疑う場合は卵白・卵黄・オボムコイド(卵白の中の成分で卵アレルギーの主な原因となりやすいもの)という項目を検査します。
検査項目は百種類以上あるので、検査を希望される場合はある程度項目をしぼらなければなりません。
また、検査にかかる費用は安くはないため、下記に検査項目数別におおよそかかる金額を記載しますので参考にしてください。
検査項目 | 5項目 | 10項目 |
---|---|---|
6歳未満 | 約2,500円 | 約3,500円 |
6歳以上 | 約3,500円 | 約5,000円 |
※金額は実際に支払う金額で記載しています。
血液検査以外の診断方法には皮膚で行うプリックテストというものもあります。しかし、最終的にそれらの検査で診断がつかない、もしくはあいまいな場合は食物経口負荷試験(実際にその疑わしい食材を食べてみて症状の出現の有無をみる検査)を行います。
当院では食物経口負荷試験を積極的に行っています。ただし、外来での試験であるためアナフィラキシーの既往があったり、強いアレルギー症状の出現が予測されるお子さんではできません。そのようなお子さんは鹿児島市立病院にて1泊2日の入院で試験を行うことにしています。ここでは外来での負荷試験について詳しく記載します。
負荷食材は卵、牛乳、小麦以外ではご家族の方に準備していただいています。卵、牛乳、小麦に関しては当院で食材を準備しています。試験にかかる時間はおおよそ2-3時間です。試験中にアレルギー症状が出現した場合は点滴などの処置を行うことがあるため、さらに院内へ滞在する時間は伸びることがあります。そのため負荷試験は午前中もしくは午後のアレルギー外来枠(要予約)にて受け付けています。参考のために検査にかかる費用(実際に支払う金額)を記載します。
年齢 | 費用 |
---|---|
3歳未満 | 約3,000円 |
3歳以上6歳未満 | 約2,500円 |
6歳以上9歳未満 | 約4,000円 |
保育園・幼稚園・学校では食物アレルギーに関する診断書(管理指導標)の提出が必要です。これは学校側がお子さんのために、アレルギー食材を把握すること・症状出現時の対応を理解するために最低限必要なことですのでご理解とご協力をお願いいたします。
当院でも診断書の発行は可能です(診断書料1,000円、保険外)
気管支喘息はその名の通り気管支で喘鳴が起こる病気です。子供の気管支喘息は年々増加の傾向にあります。しかし、私自身が喘息発作を頻回に起こしていた30年ほど前に比べると治療が格段によくなり重症の発作を起こすお子さんは少なくなりました。
喘息の治療薬には大きく分けて予防薬と発作止めがあり、予防薬の進歩が現在の重症喘息の減少に貢献しています。
予防薬にはオノン®やキプレス®などの抗ロイコトリエン拮抗薬やフルタイド®、アドエア®、パルミコート®などの吸入ステロイドがあります。
気管支喘息の治療は左図のような小児の気管支喘息治療のガイドラインがあるため全国的にも治療は統一されたものとなってきています。
喘息の治療の評価の一番は発作が出ないことなのですが、最近では気道の炎症を評価し治療することが重要となってきています。その気道の炎症の評価に使われるのが、右図にある呼気中の一酸化窒素を測定する機械です。
この検査は最近まで保険診療としては行われておらず研究段階でしたが、その有用性が認知され平成25年6月より保険適応となりました。
(保険適応の一部負担金が約300円)小学生以降のお子さんであれば遊び感覚で行うことができる簡便なものです。
当院でも大きめのお子さんの喘息の治療評価に活用しています。
アトピー性皮膚炎というと皮膚科でみる病気と思われがちですが、最近では『食物アレルギーに関連するアトピー性皮膚炎』といって食物アレルギーを発症する前のサインとして、生後まもなくより頑固な湿疹が出現するお子さんがいることがわかってきています。
この場合はアレルギー検査を含めた採血などが必要であることもあり小児のアレルギー専門医で診察を行うことが少なくありません。
当院でも検査や治療を行っていますし、その後の食事指導や栄養指導も行っていますため気軽にご相談ください。